2004年6月、ラベイユスタッフ一行は自分達の販売しているはちみつについて、さらに深く知るために、養蜂をこの目で見て体験をしようと青森県の十和田湖へ向かいました。そこでは移動養蜂中の養蜂家、光源寺さんが採蜜をしています。
光源寺さんは戦前から移動養蜂を始め、50年以上になるそうです。春から秋にかけて花が咲く蜜源を追いかて北上しながら採蜜をしています。南は鹿児島県から北は北海道まで1年の半分以上をかけて行う大仕事です。
私たちが訪れた十和田湖湖畔では、ちょうどトチのはちみつの採蜜をしていました。
十和田湖について
十和田湖は青森県と秋田県の県境に位置し、標高400mの山上に深く青い水をたたえる二重カルデラ湖。約20万年前の十和田湖火山活動で、中心部が陥没し湖が形成されました。
採蜜地周辺の自然環境は素晴らしく、山と湖とたくさんの緑に囲まれていました。
採蜜レポート
朝の5時、光源寺さんと一緒に採蜜地へ向かいます。十和田湖湖畔から少しだけ山の中に入ったところです。夜の間に蜜の水分を蒸発させているため、朝の蜜はとても濃く、作業は朝一番に行われます。スタッフ全員、長靴に長袖長ズボン、麦藁帽子に面布(みつばちに刺されないように顔を守る網の被り物)、ゴム手袋をはめていよいよ採蜜です。

ここが採蜜地。この巣箱の中に1ヶ月貯めた蜜がたっぷりと入っています。全部で20個の巣箱がありました。

ここで蜜蝋の蓋をナイフでカットします。まずは作業場作りから仕事が始まります。

燻煙器です。落ち葉やダンボールなどを燃やして煙を噴出させる道具。みつばちをおとなしくさせて攻撃を防ぎます。

燻煙器のセッティング。光源寺さんは松の葉を使っていました。

スタッフ全員メモを片手に光源寺さんの話に聞き入っています。養蜂家さんの話はとても勉強になりました。

巣箱の蓋を開けて…上にかぶせてある布は寒さ予防です。初夏といえども朝夜は冷えます。

まずは巣枠を取り出します。みつばちを驚かせないように慎重に行います。ちなみにこの巣枠1枚は約1升(2.4kg)あるそうです。

巣枠についたみつばちを一気にふるい落とします。息を止めて「えいっ!」とふるうのですが、これがなかなか難しいのです。

蜜蝋の蓋をナイフでカットします。(みつばちは貯めた蜜を熟成させるために体内から蜜蝋を分泌して蓋をしています。)

カットされた蜜蝋は乾燥させて蜜ろうそくになります。蜜ろうそくの光は何ともいえずやわらかく、煤も出ないので環境にもやさしいのです。

遠心分離機に巣枠を入れ、回転させて蜜を搾り出します。

これが遠心分離機の中。この機械の下から蜜を取り出して蜜の採集は完了です。

八戸から十和田湖に向かう車からの景色。のどかな水田風景が続いています。

十和田湖です。静かで美しい湖です。湖畔には緑が生い茂り、木漏れ日が幻想的でした。

光源寺さん
採れたての蜜の味
早速採れたてのはちみつの味見をしました。ハニカム(巣蜜)ごといただきました。自分達が採蜜をお手伝いしただけに、その味は格別。新鮮でさらりとしていてちょっぴりスパイシーなトチのはちみつでした。

トチの花
終わりに
今回採集した蜜はトチのはちみつ。この時期、十和田湖周辺には背の高いトチの木が白い花を咲かせていました。光源寺さんが採集するはちみつは、れんげ、りんご、トチ、アカシア、菩提樹などです。その年その年によって採れる蜜の種類や味が違います。ひとつとして同じ蜜はありません。それがはちみつのおもしろいところです。その反面、ここ近年で自然環境が大きく変化していると光源寺さんはおっしゃっていました。蜜源の減少や、予測できない天候や土壌の変化などが増えてきているそうです。みつばちが元気に暮らしていける自然環境を守っていくことも、私たちの大きな仕事なのだと再確認をしました。